朗読 藤沢周平名作選 | ||
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藤沢文学の魅力が際立つ珠玉の十篇を心しみる朗読で贈る“聴く名作選集” 朗読でこそ聞こえる藤沢周平の世界がここにある。 目を閉じて藤沢周平の名作を聴く。心の中に懐かしく大切な日本の風景と人々の生が立ち現われてゆく…。 手練の読み手の声が、作家の希有な才能が紡ぎ出した物語世界を私たちの脳裏にまざまざと再現してくれる。江戸や海坂藩でひたむきに生きた市井の人々、下級武士へ向けた作家の暖かい眼差し。文章とも映像ともひと味ちがう、磨き抜かれた言葉の力と響きが、何かが失われつつあるこの現代に生きる私たちにかけがえのないメッセージを伝えてくれる。 |
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1、「約束」 |
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「約束」だけを心の支えに五年の歳月を送った二人に、ようやく再会の日が訪れるのだが…。感涙を禁じえない藤沢短編の代表的秀作。(約70分) 朗読:倍賞千恵子 |
2、「祝い人助八」 |
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身なりに無頓着なために人から侮られる侍が上意討ちの討手に。剣あり、恋あり、ユーモアあり。映画『たそがれ清兵衛』の主筋となった娯楽短編。(約70分) 朗読:すまけい |
3、「たそがれ清兵衛」 |
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重い病の床に伏している妻にかわって日々家事にいそしむ地味な男・清兵衛に上意討ち討手の命がくだって…。映画『たそがれ清兵衛』の表題作。(約80分) 朗読:柳家花緑 |
4、「夜の道」 |
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拾われて育ったおすぎの前に、実の母を名乗る人が現れる。十五年前にさらわれた自分の娘だというのだが――。子を思う親のこころを端正な筆致で描いた佳作。(約60分)朗読:竹下景子 |
5、「逃走」 |
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小間物屋が表看板だが、実は泥棒の銀助。ある日、母親に邪魔者扱いされているかわいそうな赤ん坊を盗み出して…。藤沢作品には珍しいユーモラスな一編。(約65分)朗読:笹野高史 |
6、「泣く母」 |
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母への断ちがたい思いを胸に、異父弟にかわって野試合に臨む――。少年の、いまだ見ぬ母への憧憬を瑞々しい筆致で描いた甘美な傑作短編。(約64分) 朗読:中村梅雀 |
7、「虹の空」 |
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小心者の政吉と勝気なおかよ。祝言をあげることになるが、実は政吉には所在が判らない継母がいて…。市井のひとびとの喜怒哀楽を描いた佳作。(約56分) 朗読:樫山文枝 |
8、「神隠し」 |
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伊沢屋のおかみ、お品が姿を消した。探索を頼まれた岡っ引の巳之助だったが…。商家の妻女の失踪と殺人事件のからくりを描いた傑作短編。(約60分) 朗読:辻萬長 |
9、「赤い夕日」 |
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過去を断ち切り、今は大店の女房となったおもんが、もういちど永代橋を渡ることになって――。男と女の心理のひだを精緻な筆致で描いた佳作。(約59分) 朗読:奈良岡朋子 |
10、「静かな木」 |
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今は隠居の身の孫左衛門。欅の老樹に己の姿を重ねあわせ、静かに人生の夕暮れを迎えようとしていたが…。「海坂藩もの」の集大成ともいえる傑作短編。(約73分) 朗読:柳家三語楼 |